巫女と王子と精霊の本




「お前の想いは…それを殺す」

「!!」


もう一人の私の言葉に私は胸を押さえる。



この呪い…………
いづれ死に追いやる刻印。


この事をエルシスはまだ知らないのに!!



「……どういう意味だ?」


「そのままの意味だ」





もう一人の私はただ冷たく言い放つ。



「お前を愛するたびに、それの命は刻印を刻み、命を散らしていく。そういう呪をかけた」


「な…んだと……」



エルシスは本当なのか?と言わんばかりに私を見つめる。



「……エルシス………」



ほら、またそんな悲しそうな顔をする。





「だから…知られたくなかったのに…」



ただ俯くことしかできない。
エルシスの顔をみたら、どんな顔をすればいいの?



「…鈴奈、前から体調を崩してたよな?その時も胸を押さえて……っ!」




確信したのか、エルシスが息をのんだのがわかる。





「…俺がお前を想う事すら許されないのか…?」



誰に問うでもなく呟く。



私達は一緒にはいられない。
想う事すら、好きでいることすら許されない。



「これは、役目を終えれば在るべき場所へと帰る。刻印だけではない、その想いを抱え孤独に苦しむ。そんな場所にこれはただ一人帰るのだ」



それは、一人ぼっちのあの家のことだろうか?
顔を合わせなくなった家族の事だろうか。



そう、あそこはただ孤独だった。