巫女と王子と精霊の本




―竜王、あたなの口から、あなたの意思を聞かせてください。




人の王と竜の王が共に生きていく為に、今私達は手を取り合うんだ。



「エルシス」


私はエルシスに手を差しのべる。

エルシスは頷いて私の手を握った。




『人の王よ』


―あぁ、久し振りだな、竜王よ



竜王の言葉が届いたのか、エルシスは気兼ねなく返事を返した。


お互いに対等に、互いに王として……



『魔王との戦いを決めたと聞いた』



―あぁ、鈴奈か?
そうだ、俺達はただ訪れる災厄を待つのではなく、立ち向かう道を選んだ。



『無防でも、か?命を落とすかもしれぬ、それでもか?』



―俺達は死なない




『何を根拠に……』




―根拠などない。
だが、信じている。
俺達は死なない、魔王に勝ち、皆幸せになる、と…





『!!』




竜王が息を呑んだのがわかった。



私も同じだ。
この人の、エルシスの本当の強さにあてられてる。

絶対に勝てる、そう思えるほどの何かがエルシスの言葉にはある。





―後悔など努力をしないから生まれる感情。こうすれば良かった、ああすれば良かったなんてなんの役にも立たない感情だ。
俺は未来を自分で選びとり、後悔などしないよう必死に努力すると決めている。




あぁ……

この人は気高い………


『ほう……これは驚いた』


竜王は少し笑った。


『人の王から、これ程までの王の気迫、気高さ、そして強さを感じるとはな…。これがお前の選んだ王か』


―竜王……



竜王も同じなんだ。
エルシスから感じる無限の可能性…