巫女と王子と精霊の本




『…巫女か、よく来たな』


竜王が私の前で羽を休めている。


―お久し振りです、竜王


竜王に深々と頭を下げる。



「竜王、巫女様が遊びにきてくれた」

『…そうか。巫女よ、あれから魔王の動きはあったのか?』



―動きはみられないんですが、近い未来に魔王の力はこの世界を滅ぼそうとするでしょう



『……お前はどうするつもりなのだ、巫女よ』


竜王は私達の言動、行動、生き方から私達を信頼するにたるかを決めると言っていた。


だから、今日は私達人間の意志を伝える目的もあった。



「また…誰かが死ぬの?」



ルイヴィエは不安そうに私を見上げる。



「ルイヴィエ、もう誰も死なせない為に私達は戦うんだよ」


ルイヴィエの頭を優しく撫でる。



ルイヴィエの事も、この世界に生きる全ての存在を守るために…



―私達人間は、魔王と戦う道を選びました。明後日、カイン国を発ち、魔王の城の手掛かりであるヴェルデ国へ向かいます。


『……王子といえど、ただの人間。命を落とすぞ』


命を落とす……
もし、私の大切な人が死んでしまったら…



怖い。
怖くて怖くてたまらない。


でも…



―戦っても、戦わなくてもきっと魔王は私達を殺すよ。
なら、足掻いて戦って…可能性にかけるほうがずっといいとは思いませんか?



あきらめてしまえばそれまで、あきらめなければ可能性という未来がある。




ー居場所を守る為にあなた方はどうなされるのですか?
破滅をまつもよし、でも、少しでも可能性にかけてみませんか?
諦めるのは足掻いてからだって遅くないです。



『……巫女……』



竜王は迷った瞳で俯く。



「竜王、私も戦う。…巫女様と…竜王とずっと一緒にいたいから…」



ルイヴィエは竜王の体に寄り添った。



ルイヴィエ……
私も、一緒にいたい、あなた達が生きる世界を守りたい。