巫女と王子と精霊の本




「…巫女様は…?」

「え…?」



唐突な質問返しに私は間抜けな返事を返してしまう。



「巫女様は…どんな風に過ごしてるのか…知りたい」


私の生活なんて、聞いても面白くはないと思うけと…


「そうだなぁ…。お城にいると、セレナが朝一におはようって言ってくれて、セキが私をからかったり…あ、お馬さん達と話したり、精霊のクレアーネさんと話したりね!」


「…巫女様は…動物と話せるの?精霊とも?」


ルイヴィエは目を輝かせて私を見上げる。



「うん」


「巫女様は色んな人とお話できるんだね。嬉しい…」


「嬉しい…?」


私が動物や精霊と話せる事が、ルイヴィエは嬉しいの?



「 私…竜と話せる…。そうすると、皆が私を避けるから…」

「!!」



ルイヴィエ……
そんなことがあったんだ…


勇気を出して、命をかけて竜の怒りを鎮めたルイヴィエが、どうして避けられなきゃいけないんだろう…



それに、今まで気づかなかった…
ルイヴィエに悲しい思いをさせてしまっていた事に…


「ルイヴィエ、その力があなたにあるのは、その力を必要とする時が必ずおとずれるからだよ」



私の力はフェルから与えられたものだけど、ルイヴィエは、生まれもって与えられた。


「ルイヴィエにしか出来ない事がある。あなたの力はあの時確かに、私達を救ったんだよ」



ルイヴィエの手を両手で握りしめた。


「あなたに救われたの。ありがとう、ルイヴィエ」



私は、先の未来がわかっても何も出来ない。


ただ知っているだけ…



「巫女様……」


ルイヴィエは小さく笑みを浮かべた。



「ルイヴィエを私の妹のように大切に思ってる。あなたを大切に思う人がいるって事を忘れないで」

「うん…巫女様。巫女様の事、私も好き…。だから…巫女様も一人じゃない…」




私の手をルイヴィエが握り返す。



私も一人じゃない…か。
嬉しい…


「嬉しいよ、ルイヴィエ。ありがとう!」



今、この瞬間にも私を大切に思ってくれる人がいる。
それが私の存在理由だ。



「着いたよ」



ルイヴィエは正面を指差す。