巫女と王子と精霊の本




――――――――――――――
――――――――――
―――――


「実は……」


皆で朝食をとりながら私が口を開く。
皆の視線が一気に集まった。



「未来が綴られたの」



皆が息をのむのがわかる。


「…ラミュルナ・ヴェルデ、ヴェルデ王国の王女を助けて欲しいの」

「…ヴェルデ王国?ヴェルデ王国はすでに滅んでるはずだけど?」

「あの時も話したようにヴェルデ王国は数年前に滅ぼされている」


セキとエルシスの反応は予想の範囲内。

それでもラミュルナ王女は生きてる。確証はないけど、あの夢はただの夢ではないような気がするから…



「ヴェルデ王国は滅んでいても、王女は生きてる。今も魔王に捕らわれてる…」




そう、今も孤独に………


「……だが、王族は誰一人として亡くなったと聞いているが…」

「でも、王女は生きてる。今も、ずっと一人であそこに……」


あの地下牢で泣いてるかもしれない。
私との約束を覚えてるかな?


「絶対に迎えに行くって約束したの…」


「約束…お前は王女に会った事があるのか?」

「うん…」


いつ、と言われると「夢で」なんて納得してもらえるわけないけど…


「…魔王の城に、ラミュルナ王女は捕らわれてる。そこで魔王を倒すの、エルシス…あなたが」



目の前に座るエルシスを見つめる。
エルシスも私を真剣な瞳で見つめていた。


「魔王を倒す…か…。やっとここまで来たんだな」


エルシスの言葉に頷く。



そう、これで最後…………



「皆、力を貸して。皆で未来を守ろう!」



私が立ち上がると、エルシスとセキも立ち上がる。



「俺がこの世界を救う英雄というのなら、必ず英雄となってみせる。お前の期待に応える働きをすると約束する」


エルシスは優しく笑う。


エルシス…ありがとう。
きっとこれで最後だから…
これであなたは幸せになれる。



「…私は…エルシスの道標に」

「俺は、鈴奈の剣と盾に」



いつか交わした約束。
全てが終わるその瞬間まで、この人の傍にいよう。


「俺も!」


セキが私の左手をとる。



「セキ?」

「俺も鈴奈の剣と盾になる。もちろん、体も心も守るよ。誰にも傷つけさせない」


セキ………
最初は私の事を信じていなかったけど、今は信頼してくれてるのがわかる。


「セキ、私も…私なりのやり方でセキ、あなたを守るよ」


この先を知る力で………



「巫女様……」


今度は控えていたセレナが私の目の前に立つ。