巫女と王子と精霊の本




「未来を信じて欲しかった…。諦めないで欲しかった。必ず幸せになれるから…戦い続けて欲しかったの」


絶望を前に、希望を捨てないで欲しい。だから…


「でも、その悲劇を一人で受け止めるのは辛かったでしょ…」

「っ!!」

「鈴奈が辛そうな顔してるの、よく見てたから。一人で背負わせてごめん」

「…っ…セキが謝ることない!私が勝手にした事だから…。でも…ありがとう、嬉しかった。本当に…ありがとうっ…」


泣き笑いでセキに笑いかける。
本当に救われた気がしたから。


「鈴奈…。あーあ!!」

「へ!?」


突然セキが叫ぶ。


「な、何?」

「鈴奈の好きな男が俺だったらよかったのにさ!」

「へっ?」


な、何言ってるのこの人!!


「俺だったら、アンタにそんな顔させない」

「っ!?」


急に口調が変わり心臓がドクンッと脈をうつ。


な、なんだろう…
雰囲気が全然違っ……


「…鈴奈、あんなヘタレ王子の何がいいの?譲ろうかと思ったけど、鈴奈の心さえ守れない奴に渡せない」

「…は…へ…?」

「ねぇ、王子、そこに隠れてないで言い返せば?」

「えぇっ!!?」


セキのカミングアウトに思わず立ち上がると、柱の裏からエルシスが出てきた。