巫女と王子と精霊の本




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「……物語が……」


毎日の日課のように朝一で開いた本に物語が綴られていた。



「……どうか…あの人にこれ以上苦しみが降りかかりませんように…」


震えるてで本を持ち、物語を読む。




―ある国に、どんな傷も癒す姫がいました。
姫は、その力のせいで、魔王ガイアの花嫁にとさらわれてしまいます。
魔王の住む城へ乗り込み、王子は魔王と勇敢に戦いますがその力は強大で、最後は魔王の鋭い爪で王子は心の臓を貫かれ魔王に敗れました。

その後、姫は魔王に襲われ、魔王の子を生みその魔の力に耐えられず死んでしまいます。

アルサティアは魔に満ち、生きとし生けるもの全ての命を朽ちさせ、生物は全て滅んでしまいました。




「あぁっ……どうして…」


もう嫌…なんでこんな……


「ねぇ、どうしてあなたはこんなにこの世界を憎むの?もう一人の私だっていうのなら、どうして私の大切な人を苦しめるの!?」



もう一人の私………
私の声は届いてるのかな?



返事は返ってこない。




「……巫女様、起きてらしたんですね」



セレナが部屋に入ってくる。


「…セレナ……」

「巫女様?何かあったのですか?顔色が優れないようですが…」


セレナは心配そうに私を見つめる。


「…うん…」


私は本を見つめる。


「そうですか……」


本を見つめる私に何かを悟ったのか、セレナは何も聞かずに私に巫女服を渡す。


「ありがとう、セレナ」

「はい、朝食ご用意して待っています。早くお戻りになってくださいね」


「うん!行ってくる!」



セレナ、私が本の力を使う時に一人になりたがるのに気づいてたんだな……


ありがとう、セレナ……


私は部屋を出て噴水のある庭園へと向かった。