巫女と王子と精霊の本



「俺にとっての幸せは、俺の大切な者と共に終わりなき未来を歩むこと」

「終わりなき未来?」

「難しいか、要は…だな。俺の未来に、お前がいるのか…って事だ」

「っ!!」



エルシス、それって…?
それって…どういう意味?

私はエルシスにとって大切って事?



「…あ…エルシス…?」

「…だ、だからだな…俺は、お前がいない未来に…だな…」


真っ赤になったエルシスがしどろもどろになって自分の顔を片手で覆った。


「…っ…わからないのか!俺は…俺はお前が…」

「…エルシ……」



―ドクンッ


「あぁっ!!あ…はぁっ…」



まただ…
また刻印が時を刻み出した。

痛みで思わずしゃがみこんだ。




愛せば愛すほど、死へと近づく残酷な刻印。



「鈴奈!お前やっぱり…一体何が…」

「…あぅ…ぐ……」


この痛みは…私がエルシスを愛していることを証明してる。



だからか、この痛みも愛しいとさえ思う。





「…はぁっ、エルシス……」



痛みで朦朧としながら、エルシスの手を握り締める。


「…頑張ろう?あと少し…だから、あと少しで、こんな悲しい事も…もう……無くなる…から…」

「こんな時まで何言ってるんだ、そんな事、今はどうだっていいだろ!?」


「良くない!!」


叫ぶ私をエルシスは驚いたように見つめる。



「私にとってはっ…命に代えたって大事なっ!!大事な事なのっ!!」



痛みなんて吹き飛ぶ程に私は必死だった。



「鈴奈……」

「エルシス…エルシスを守る為なら…」




私は命だってあげられる。
それほどまでに誰かを愛するなんて、あの現実にいた時は思わなかった。



愛なんて、一生知らずに生きていくのだと思ってた。



私に…こんなにも温かく熱い想いを教えてくれた…


「エルシス、ヴェルデ王国の…お姫様をっ…知って…る?」




とぎれとぎれになりながらも伝えるべきことを伝える。



「ヴェルデ王国だと?ヴェルデ王国は数年前に滅んだ国だ」


「!?」


なんて?
今なんて言ったの…?



「嘘…でしょ……?」

「いや、事実だ。ヴェルデ王国は魔物に襲われ、滅んだ。故にヴェルデ王国があった場所は今も魔物がすみつき、立ち入り禁止区域となっている」



…嘘だと言ってほしい。
この事をラミュルナ王女は知ってるの?




「ラミュルナ王女…ラミュルナ・ヴェルデはどうなったの!?」

「…癒しの姫か?国が滅んだと同時に王族も皆滅んだと聞いていたが…」

「そんなっ……」


ラミュルナ王女…
魔王はラミュルナ王女が目的だった。
国を魔物に襲わせて、ラミュルナ王女だけ連れ去った…?


でも、ラミュルナ王女は国を魔物に襲われたなんて一言も言ってなかった…


「まさか、ラミュルナ王女は国が滅んだ事を知らないまま魔王に…」



いつの間にか刻印の痛みも引いていた。
私は立ち上がり本を開く。