巫女と王子と精霊の本





「このまま、助けなければ……」


…私はエルシスの傍にいられる…



「!!!」


私は今、何をっ!?

考えてはいけないことを考えた。
助けなければなんて……


『それがお前の本来の姿だ。美しいだけの人間などいない。今は俺が心の闇を、お前が光を持ち存在しているから美しいだけのこと。元は一つだった』



…そんな…そんなことない…
今の私が私だ。


私はこの世界を愛し守るんだ。


『まだわからないか、鈴奈。お前の愛は偽りだ』

「違う!!」


―ガタンっ

叫んだと同時に立ち上がったせいで机のランプが落ちた。


―バンッ

「鈴奈!!」

「!!」


突然部屋の扉が開く。
そこに入って来たのはエルシスだった。


「…エルシスっ……」


やだっ…こんな自分、見られたくない。
綺麗じゃない、汚い…


「おい、鈴奈、どうし…」


エルシスは私に駆け寄ろうと足を踏み出した。


―嫌っ!!

「来ないで!!」

「っ!?」


近づこうとするエルシスに私は叫んだ。



今は誰にも見られたくない。
こんな私を知られてはいけない。


「鈴奈、一体何があった?」

「………………」



エルシスの問いにも答えられない。
今は何も考えられないほど動揺してる。



「………今は…そっとしておいて。すぐに、また元気になるから!だからね…」


エルシスに背を向けて立つ。


「だから……今は…」

「人を遠ざけるな」

「……え…?」


エルシスは私には触れずに真後ろから私に語りかける。



「なにがあったかは分からないが、お前の事だから、言いたくないんだろう?」



……エルシス……


「だがな、俺は王子だ。何を知ったって大抵の事は受けとめられる」

「…エルシス……。そうだね、エルシスならきっと受けとめてくれる。でもね、私自身が許せないの。こんな…こんな感情を抱く自分に…」


エルシスには、綺麗なままの私だけを見ていてほしい…


「…鈴奈、お前の苦しみを何故俺にも背負わせない?俺は…お前の痛みを知りたい…」


エルシスの手が私の背中に触れる。


「っ…」

ビクッと体が震えた。


「そんなに優しくしないで、エルシス。私…どうしたらいいかわかんなくなるよ…」



優しすぎて、私の想いがどれだけ汚いかを思い知らされる。