巫女と王子と精霊の本




「わぁっ…」


目の前に光が溢れる。
シャンデリアのような電気に深紅のじゅうたん。黄金に彩られた世界に目を奪われる。


「こういうとこ初めてなのはわかるけど、立ち止まってると変に目立っちゃうよ?」

「あ…う、うん…」



セキに引っ張られるまま中央まで連れていかれる。




「あれがアルサティアの巫女か?」

「まだ若い少女じゃないの」

「なんでも未来を知るとか」

「…信じがたいですわね」




色んな声が聞こえる。
なんか…気まずいなぁ… 


こんなに注目された事なんて無かったし…


「鈴奈、俯いたら駄目だよ」

「だって……」



こんだけ視線を集めれば俯きたくもなるよ!!


「鈴奈はアルサティアの巫女だ。皆を導く為にはその肩書きが必要になることもある。だから鈴奈が自信無さそうに振る舞えば、誰もが君を巫女だとは信じられなくなるんだよ」



「振る舞い……」


私の振舞いで巫女としての信用を失ってしまうかもしれないんだ……


「巫女としての威厳、気品が問われるからね」

「……そう思うとなんだかまた緊張してきた…」


あぁ!
足と手が同時に出ちゃう!!


「鈴奈、これは逆にチャンスだ。巫女サマとしての鈴奈を周りの人間に思い知らす為のね」

「チャンス……」


そう言われると、そうかもしれない。
皆に信用される為には私も認められる振舞いをしなくちゃ!


「鈴奈は綺麗なんだし、もっと自信を持ちなよ。人を惹き付ける魅力もあるんだから」


「魅力なんて私には……」

「ほら、堂々として!鈴奈は巫女だ」


私は……巫女……………



「うん、私は巫女だ…」



そう言うとなんだか緊張が和らいだ。
さっきよりもしゃんと前を向いて歩ける。


「うん、その調子!」

「ふふっ、ありがとう」


セキに教わっちゃったな…
やっぱりセキも王子様なんだね…





「鈴奈……?」

「あ……」



遠くからエルシスが私の名前を呼んだ。
エルシスは目を見開いて私を見つめる。