「俺、王子って自覚してから人間が卑怯で汚い生き物に見えたんだよ。簡単に人を裏切るし、散々醜態を晒して自分の番になると懇願する…同じ人間なのが気持ち悪いとさえ思ったよ」
「そうなんだ……。セキも色々抱えてきたんだね」
王子になって、たくさんの人となりを見てきた。
私も巫女になってたくさんの人と接した。王子はきっとそれ以上に人と触れあう。
「でも、その汚さも人間なんじゃないかな?」
「…え……?」
セキは首を傾げる。
「綺麗なだけの人間なんているのかな?」
「それは……」
「私はそんな人どこにもいないと思うよ?生きたい、何かを手に入れたい、何かを成し遂げたい。そんな欲がなきゃ人は生きていないし望みも目的も無い人形になっちゃうんじゃないかな」
何かを手に入れたい為の醜態。
どんな理由であれ、人である以上色んな形の望みがある。
良い、悪いは別としてだけど……
「ただ、その望が人を傷つけてしまうのは悲しいね。だから、私達はそうならなきゃいいんだよ」
望が、誰かを傷つけと手にいれたモノだとしたら嬉しくないから…
「そうか、そうだな。俺がそうならなければいいんだ…」
セキは自分に言い聞かせるように呟く
「うん、だからセキが見て嫌だと感じた事は絶対にやらない。そう心に留めておけばセキは誰よりも優しい王様になれるんじゃないかな」
「……ふっ…くくっ…」
「え?今の笑うところ!?」
な、なんで笑われてるんだろう!?
結構真面目な話してたのに!
「いや、ごめん鈴奈。やっぱり鈴奈はすごいなって思ってさ」
「すごい??私は何もすごくないよ!?」
「いや、すごいよ鈴奈は。ずっと人を信じられなかった俺が、また誰かを信じてみようって思えたんだからさ」
セキ………
そうか、また信じようとしてくれたんだ。それなら私はセキの役にたてたかな?
「鈴奈……」
「うん?」
何故かセキが立ち止まる。
私はセキより少し進んだ所で足を止めた。
「俺も立候補していいかな?」
「……………は?」
突然どうしたんだろう。
立候補って何の話!?
「鈴奈が欲しい。もちろん、男として」
「……へ……?」
ほ…ほほほ欲しいってなにが!?
男としてってどういう意味!?


