巫女と王子と精霊の本




「セレナの腕が一流なんだよ!」

「誉めても何も出ませんよ」

「ふふっ、本当にそう思ったんどけどな」



鏡に映る自分を見つめる。


こんな経験きっともう出来ない。
本当、夢みたい…


ここにいる事がたまに夢のように感じる。朝、目が覚めたらいつもの日常に戻るんじゃないかと錯覚する。



「巫女様」



鏡越しにセレナは私を見つめる。



「セレナ?」


なんでか泣きそうな顔をするセレナを振り返ると、セレナは俯いてしまった。



「……っ…ぐすっ…」


セレナの嗚咽が聞こえる。


「セレナ……泣いてるの…?」


セレナの顔を下からのぞきこむと、セレナは泣いていた。






「セ、セレナ!?どうしたの!?」


さっきまで普通に話してたのに!!
どうして…泣いて…?



「…良かった……」

「え………?」



……良かった?


「 今、こうして巫女様に何かをしてあげられる事が本当に嬉しいんです」

「世話やく事が!?」


セレナは「はい」と頷く。


「巫女様には守られてばかりでした。傍で支えてさしあげたくても、私にはそれすら出来ませんでした…」


セレナ……そんな事を気にして…


「もう会えなかったら…そう思ったら怖かったんです。何も考えられなくて、泣くばかりでっ…」


「セレナ!」


―ガバッ!!



私はセレナを強く抱き締める。


「……巫女…様……?」

「ごめんね、いっぱい心配かけて。でも私はここにいるよ。セレナの目の前にいるからね…」



平気そうに振る舞ってたけど、本当は誰よりも怖かったんだね。

待っている事のほうが辛かったに決まってるよね…