巫女と王子と精霊の本




「黒の結末…というのは世界が破滅する結末…」



自分で言葉にして怖くなる。
どうして滅ぼそうとするんだろう…
なんで平和を望んじゃいけないの?


「あの方は素晴らしい。世界の正しき在り方を知っている。今度こそ人間の王子になど負けないさ、なんせあの男は未来を知り、破滅を綴る事が出来るんだからね」



あの男…って事はその人は男の人なんだ…



「フェル、どうして私と同じで結末を変えられる人間がいるの?」



私はフェルから本を託されてこの力を使える。
その人も本を持ってるって事?
だとしたらどうやって……



「考えれば考えるほどわからないよ…」


何がどうなってるの…?



『僕にもわからない。けど、この本と出会い、この本に対して君と同じように愛という強い想いを、反対に憎しみを注いだとしたら…。この本は妖精の造り出した世界。読む者の心が大きく世界に関与するんだ。それは世界の境界すらも越えて繋がる』



ならその人はこの本を憎んでいたのかな?



「私は寂しさを埋めてくれたこの本が大好きで、私とは違って意志が強くて、真っ直ぐなエルシスに憧れた。だから私はこの世界が大好き…。その人は違うのかな…」



だとしたら悲しい……
こんなにも優しくて温かい物語なのに…




「人間にも様々いるだろう?お前のように寂しさを埋めてくれる温かい存在、と思う者もいれば、けっして手に入ることない幸せを見せつけられる苦しみとなることもあるのさ」


「…そんな………」



同じ人間でも考え方次第でこんなに道がわかるちゃうんだ…