『僕の本には命が宿るから、この世界は本当に存在している。ただ…この世界が存在するには物語が正しく存在しなけらばならないんだ』
「物語が正しく?」
『そう、王子が魔王に勝ち、姫と結ばれ幸せな未来を紡ぐ結末。それを君の祖先はやり遂げてこのアルサティアという世界が存続していたんだ』
私も知らなかった。
エルシスの祖先がこの世界を……
「なら何故また物語をやり直す必要があるんだ?」
『魔王が目覚め、アルサティアが滅ぶ結末を作った奴がいるからさ』
それが黒の結末………
『黒の結末を紡ごうとする人間を止める為に鈴奈がこの世界に来たんだよ』
「…鈴奈が……?」
エルシスが私を見る。
私は肯定するように頷いた。
『鈴奈にはこの世界を愛する心がある。鈴奈にしかこの世界を白の結末に、正しい結末に変える事は出来ない』
「お前が隠してきたのはこの事だったのか、鈴奈」
エルシス…………
私はこの世界が本の世界だって知ってた。あなたが物語の人物だということも…
でもエルシスはエルシスだから…
この世界で生きてる。
私とは本来出会えるはずなかった人……
『鈴奈を責めないで!鈴奈は君を助ける為に頑張ったんだ』
「どうして…もっと早く話さなかった?一人で悩むなって言ったはずだろ?」
「エルシス……」
「いや、違うな。俺が気づいてやれなかったのか…」
エルシスは悔しそうな顔をしていた。


