「また何かわかったら連絡するわ」


涼の返答を待たずに電話が切れた。

閉じてテーブルに置く。

携帯の傍らには夕食の皿が並んでいた。

せっかく作ったのにどうしてくれるんだ。

耳のつく静けさに部屋を見回した。

そうか。

綺樹相手だと、こういう去られ方もあるのか。

乾いた笑いが口から出る。

“やめとけ”

不意に綺樹の声が蘇る。

真っ直ぐな眼差し。


「本当だな」


涼は呟いた。