「みたいって」


内容に反して動揺が微塵も感じられない声に、涼は鸚鵡返しに繰り返した。


「場合によっては、私たちは綺樹をあきらめなくてはいけないかもしれないわね」

「は?」

「ダバリードに西園寺、ウルゴイティ、全部を敵に回すのだから、相当な力と自信があるのでしょう」

「国?」

「さあ。
 私たちに敵対する者が全部手を組んだのかもしれない。
でも、それはあまり可能性がないわ。
 動きがなかったから。
 とりあえず、何事も覚悟はしておいたほうがいいでしょう」


淡々とした口調だ。