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その日は深夜を過ぎても帰ってこなかった。

仕事にトラブルか発生したのかもしれない。

この間の文化祭の件もあり、物分りのいい男を演じて、電話をしないでいた。

でも流石に明け方近くなると不安になる。

接待で飲みすぎて、そういう方向に行ったのか。

いや、接待とは聞いていないし、接待になったら電話をくれる。

なんせ夕食に自分の好きのものをリクエストしていったのだから。

涼はリビングを10周してから、綺樹の携帯に電話をした。

出る気配はない。

綺樹の携帯は特殊だ。