「あの人に弟いるの。
 一人っ子かと思ったよ」

「うん、いる」

「ふうん」

「まったく、しょうもないマイペースな奴。
 通常のペースで大学まで出てからダバリードに入る、とか言って、全てさやかに丸投げさ。
 それでダバリードが誰かの物になったら、それはその時、と思っている。
 大体、だ。
 今回の日本の地ならしだって、怜の仕事だろう。
 姉の片腕としてさっさと働きやがれ」


栓を抜いたばかりのワインボトルは既に半分が空になっている。

どうりで饒舌なはずだ。