”キレイ”な愛

部屋を出て行こうとした綺樹は目の端で涼を見て、足を止めて吐息をついた。

きびすを返して涼に歩み寄ると首に腕を回した。


「分かった。
 誰とも遊ばない」


柔らかい声で言うと、涼のくちびるにあわせる。

涼も綺樹の腰に手を回した。

キスが深くなっていく。

綺樹の服をはぎながら、坂道を転がり落ちるようだと思った。

自分が嫌うような男になっていくのが止められない。

度量が狭くて、嫉妬深く、独占欲が強く、そして理性が無い。

涼は綺樹の首筋を吸いながら、目を閉じた。

そしてこういう手段でしか所有を主張できない。

嫌で嫌で仕方が無い。

自分がたまらなく嫌だった。