”キレイ”な愛

「涼、どうしたの?」


振り返ると真湖がガレージから出てきた。


「気にしなくていい。
 外に出てくるから」


相変わらずさらりとした声が携帯から流れてくる。

真湖の声は聞こえていたはずだ。


「今から、帰る」


涼は一方的に言うと電話を切った。


「え、ちょっと涼」


鞄を取りにガレージの中に戻る涼を真湖が後ろからついていく。


「まだ終わってないよ」

「悪い。
 急用」


涼は鞄を見つけて取り上げた。