「珍しい。 今日は遊ばないの?」 綺樹はふんと鼻であしらった。 「いつも遊んでいるわけじゃない。 人生メリハリが大事さ。 じゃ、お先」 ひらりと挨拶の手をあげる。 「落とさなくてもいいわ」 さやかの言葉に、綺樹はドアノブを掴んだまま、肩越しに振り返った。 「いざという時に、こちら側に立てばいいの」 綺樹とさやかは、静かに目を合わせていた。