”キレイ”な愛

涼は驚いたように目を大きくしている。


「今更、おまえがそれを聞くの?」


綺樹はむっとした顔になった。


「何でだよ」

「何で?」


涼もあからさまにむっとした顔になった。 


「おまえが言ったんじゃなかったっけ?
 ラナさんの家に釣り合い云々って。
 相手違いだけどな」


綺樹は奥歯を噛み締めるように口を閉じた。

2人して無言のままエレベータに乗り込む。


「眉間にしわが寄ってるぞ」


涼がエレベータの中でちらりと見降ろして言うと、睨まれた。


「相手って?」

「おまえねっ」


思わず涼は噛みついた。