”キレイ”な愛

   *


「夕食、魚?肉?」

普段、もやし生活をしている綺樹には、浅草散策は疲れたらしかった。

言わないが、察した涼は西園寺の車を呼んだ。

ぼんやりと窓の外を眺めていた綺樹の横顔に聞く。


「悪いけど。
 今日はもう食べたくない」

「そんなだから、外を歩けばすぐふらふらになるし、熱も出すんだ。
 作ってやるから」


綺樹は口を開いて閉じる。

しばらく黙っていた。


「魚、かな」