”キレイ”な愛

食べられるというから、天丼屋に入ったというのに、全然箸が進んでいない。


「おまえ、嫌いなら、そういえば?」


涼はため息混じりに言って、綺樹のどんぶりを引きよせる。


「嫌いじゃない」


むっとした顔で、どんぶりを取り返した。


「胃の調子が悪くて、時間がかかるだけ」

「二日酔い?
 結構、飲んでたもんな」

「違う。
 外食続きだから、あまり胃が受け付けないだけ」


挑むような顔で天ぷらを箸でちぎった。


「へー、真面目に自炊してたんだ」

「してない。
 家政婦がいた」

「なるほど」