”キレイ”な愛



浅草寺の参道を綺樹は興味深く見ていた。

瞳がきらきらしている。

どこの国でも、観光というのをあまりしたことがないとか。


「仕事で結構、海外に行くだろう?
 この間もパリとかいってなかったか?」

「ああ、でも、着いたらすぐ仕事だ。
 スケジュール的に余裕が無いし。
仕事が終わったら、付き合いの夕食がせいぜいかな」


涼は綺樹の横顔を見下ろした。


「じゃあ、今日の休みって珍しい?」


というか、本当は休みじゃないんじゃないか。

土曜日だから勝手に休みだと思っていたが。

綺樹はうっすらと笑って肩をすくめた。