「シャワー貸して」

「どうぞ」


ウォーキングクローゼットを抜けた所にある浴室を指し示した。

置いておいた着替えを着て現れた涼の姿に、綺樹は少し笑った。


「悪かったな。
 彼氏より手足が短くて」


むっとして言い返す。


「まあ、兄貴は190越しているからね」


笑いながらコーヒーカップを涼に差し出した。


「兄貴?」

「うん。
 イギリスで医者の勉強している。
 かわいい妹が心配で、時々、泊まりに来るんだ」

「かわいい、ね」

「あ、今、鼻先で笑ったな」

「気のせい、気のせい」


涼は綺樹の反対側のキッチンカウンターに寄りかかった。