”キレイ”な愛

「ウルゴイティを継ぐ者を提供できるなら、医者を提供する、だった。
 私はあなたを売ったの」


さやかと怜の祖父はウルゴイティを飛び出した後継者だった。

年は離れているが、使用人に産ませた綺樹の母とは腹違いの兄妹になる。

さやかと怜はダバリードのために継ぐわけにはいかない。

沈没しかかっているウルゴイティを、次に建て直せる者。

以前から白羽の矢が立っていた者。

涼は顔面蒼白になった綺樹が倒れるのではないかと思った。