ショックで動きの鈍い綺樹を引きずるようにしてヘリに乗せ、飛行機に乗り移った後はウィスキーの一気飲みを大目に見て、目を閉じるのを強要した。


「寝とけ」

「無理。
 絶対、嫌な夢を見る」

「うなされたら起こしてやるから」


シートをフラットに倒してやり、手で綺樹の両目を覆う。


「無事って言ったんだろ?
 さやかさんがそう言ったなら、無事だろ」


綺樹の口元が緩むように微笑した。

なんか、保護者みたいだよな。

涼は綺樹の寝顔を見つめながら思う。

それが行く着く先の望む形でいいのだろうか。