”キレイ”な愛

寝ないで仕事を続け、突然倒れて眠るのに秘書のグレースが心配して、医者から睡眠薬を処方してもらった。

日に日に1回に服用する量が増えていく。

だから私は涼に近づきたくなかったのか。

今更、自分の感情を知って自嘲する。

さやかやライナの提案から逃げていた理由はこれか。

もう、二度と、男に本気にならないと決めたのに。

風が吹いて、街路樹の葉がざわめいた。

“彼女が誘ったらしい”

突然聞こえた英語の囁き声に、綺樹は目を見開いて息を詰めた。