”キレイ”な愛

すっかり愛想をつかされてしまったな。

買ってもらったチョコレートコーヒーを飲む。

薬が効いてきて、ひたりひたりと潮が満ちるように睡魔が押し寄せてきていた。

どうしたことか今日は薬の効きが早かった。

眠れない元凶に終止符を打たれたからだろうか。

ホテルに帰らないと。

思っても、体が重くて動けなかった。

帰国してからというもの、寝れば嫌な夢ばかり見た。

涼が連れ込んでいた女を、自分たちが過ごしたベッドの中で抱いている夢。

笑いあいながら、じゃれあっている夢。

あのマンションのダイニングで楽しそうに食事をしている夢。

眠るのが怖くなり、眠れなくなった。