”キレイ”な愛

「これ」


鍵をおいた。


「玄関ドア。
 鍵を閉めないと物騒だし、ポストに入れておくのも怖いだろ」


綺樹はちらりと横目でカギを見た。


「送れよ」


その言い方に涼はむっとする。


「こういうことの最後ぐらい、面と向かってきっちりしとくもんだろう」

「ああ、そう」


投げやりな言葉に涼は完全に頭にきた。


「おまえな、大体、一緒に住んでいたんだ。
 帰国したなら、戻ってくるのが筋だろう。
 少なくとも連絡位するのが当たり前じゃないか」


綺樹はピクリとも動かず、無表情に道路の並木を見つめている。

それが涼の怒りをあおる。