”キレイ”な愛

綺樹が何を考え、思っているのか、冷静に戻った涼は頭を巡らせる。

突然の電話に動揺もせず、帰国していながら連絡しなかったことも弁解せず、マンションを返すと言い出した理由も聞かない。

それはやはり全くこちらに関心がないからか。

でも、なぜマンションに来る気がしないのか。

あれだけ気に入っていたというのに。

返すと聞いて喜ぶかと思っていた。

ダバリードのビルの前で降りて電話をすると、数メートル先の交差点にあるコーヒーショップにいるといわれた。

指示通り歩いていくと、静まりかえった街に、灯りのついた店が見える。

綺樹の姿は店外にあった。