”キレイ”な愛

自分がどうやって帰ってきたのか覚えていない。

涼はガラスのコップを置いた。

帰国したのを知らせない。

ここに戻ってこない。

つまりあの誘拐を体よく利用して、この関係を清算したのか。

なるほど。

涼は片手で両目を覆った。

そうだ。

いつの男の付き合い方はずっとそうじゃないか。

ならば。

涼はぐっとくちびるを結んでから、携帯を手にした。