綺樹はしばらく閉まった自動ドアを見つめていたが、顔を俯かせると煙草をもみ消した。 息を吐くように少し笑う。 「ほんと、わかりやすいよな」 小さく呟くと、顔を上げてマンションに背を向けた。 そして片足を引きずりながらゆっくりと歩き出した。