*

夜の時間の歩みとは、こんなにのろかったのか。

綺樹がもう帰ってこないという事実が、夜一人でいると痛烈に刺さってくる。

大声を出したくなるほど。

そんな自分がたまらなく嫌だった。

今頃、あいつは他の男と遊んでいるのだろう。

ベットの中でしなやかに動き、足を絡め、腕を回す。