嫌なことでも言ってもどうにもならないことは、口に出したって意味がないことだと思っていた。

弱音を吐くなんて情けない、と。

そうか...。

俺のこういうところが冷たい、人の気持ちに鈍感だと言われる原因なんだな。

熱愛報道の時もただ否定するのみで、何もフォローを入れなかったからいけなかったんだ。


「でも...もういいんです。
だって、好きとか愛してるって言葉はたくさんの人が聞けても、先輩の"君の瞳に乾杯"が聞けるのは、きっと私だけなんです。
こんなに...がんばってくれるのは私のためだけって思ってもいいですよね?」


「ああ!約束するよ!
キミノヒトミニカンパイは、ユウにしか言わない。」


「そうじゃなくて...、もう...。
5分たったから切りますよ。
...また、電話します。」


アラーム音がしたと思ったら、あっさり電話を切られた。

時間はかってたのか...。

容赦ない女だな。