ナクシタモノ




それからボク達は近くの公園に入りたくさん話した。

まるで今までの時間を埋めるように。


ボクが死のうとしたこともすべて‥。

悠里は辛そうな顔をしていたけど、ちゃんと聞いてくれた。

「ごめん、ね‥‥。」

「燐は悪くないよ! 俺がもっと早く来てれば‥。」


「生きていてよかった‥」悠里はそう言ってくれた。


言おうか迷ったけど助けてもらったことも伝えた。


名前は言わなかったけれど。


しばらく話していると電話がなった。

またか‥‥。


「電話でないの?」

悠里は首をかしげながら聞いてくる。

「うーん‥‥でる‥。」

ボクがしぶしぶ電話に出ると案の定烙刃さんからだった。

「そこから動くなよ。」

烙刃さんはそれだけ言うと電話を切った。

はい? それだけ?

「何の電話だったの?」

「‥‥よくわかんない。」

そこから動くなってことはここにくるってこと?

どうしようか‥。


「燐、携帯持ってるなら番号教えて?」

「うーん、いいけどこれボクのじゃないんだよね‥‥。」


一応、烙刃さんのだし‥勝手に教えていいのかな?

「え‥‥燐のじゃないってどういうこと?」


「えっと‥。」


ボクは悠里に携帯をもらった時の状況を話した。


「そうなんだ‥‥じゃあさ! 今から燐の携帯買いにいかない?」


「ボクの、携帯?」

「うん!」

悠里は満面の笑みで頷く。

今までは必要ないと思っていたけど悠里がいるし買ってもいいかもしれない。

この携帯も烙刃さんに返せるし。

「いいよ。 買いに行こうか!」

ボク達は立ち上がり公園を出て携帯を買いにいくことにした。