ナクシタモノ




まだ施設にいるのかな‥?


「今は1人暮らしなんだ。

1年位前はおれを引き取ってくれた上野さんの家に。」


「そうだったんだ‥。」


ボクは悠里を抱き締める手を無意識に強くしていた。


「燐‥あのさ、おれも一緒に住んでもいい‥?」


ボクはパッと悠里の顔を見上げた。

見上げると悠里は恥ずかしそうに笑っていた。


「あたりまえじゃん!

それに‥ボクもう1人はヤダ。」


悠里は「そうだね。」と言って頭を撫でてくれた。

「じゃあ、明日にでも荷物運ぶな?」

「うん‥‥うん!」


あの広い家に悠里が来る。

ボクはもう1人じゃない‥!


それがすごく嬉しいんだ。