ナクシタモノ



たった1人ボクだけが残された。


「あのときね、おれだけ助かったんだ。おれ1人だけ‥。」

「え‥‥?」

「運良く軽い怪我だけですんだの。

でも記憶が曖昧で‥‥。

退院した後、施設に入れられたんだ。

でも、去年 全部思い出して帰らなきゃって‥‥

でもここまで来たはいいけど家の場所わかんなくて‥‥


ゴメン‥ずっと1人にして、ゴメン‥。」



そんなの‥信じられないよ‥‥。

悠里が生きていたなんて‥。


「本当に、悠里‥なの?」

「うん‥‥‥。」


ボクは気がついたら泣いていた。

1人じゃなかった‥ボクは1人じゃなかったんだ‥!

ボクは思わず悠里に抱き付いた。


「わ‥っ」

「悠里‥‥よかった‥生きてた‥‥。

帰ってきてくれてありがとう‥‥‥。」


笑わなくちゃって思うのに涙が溢れてとまらない。

きっと安心したからだろう。


「燐はずっとあの家に住んでるの?」


「うん、思い出の家だから‥。

悠里は?」




悠里はどこに住んでいるのだろう?