ナクシタモノ



え…だれ?

と言うかだれ?!


「誰だテメェ!!」

ボクの思っていたことを不良?グループの1人が聞いた。


「お前ら鬼龍(キリュウ)のシマでなに女殴ろうとしてんの?」

「な…ッ! あんた、うえの?!」


「上野(カミノ)だ!」

「やべぇ逃げろ!!」

リーダーっぽいやつがそういうと全員で逃げていった。

ものすごくダッシュで。


「あんた大丈夫?」

呆然としていたボクに上野と呼ばれた男の人が話かけてきた。


「え、あー…はい。」

「そう…………え?」

顔をあげると男の人はボクの顔を見て驚いたような表情で固まっていた。

なに?なにか変?

「り……ん…?」

「…え?」

「あんた、姫川 燐だよね…?」

男の人は泣きそうな顔でボクを見ている。

なんでこの人ボクの名前知ってるの?

「……。」

不審に思ってだまっていると首元のドッグタグを指差した。

「これは燐しか持ってないもん…。」

そう言って僕のと同じくタグを見せてきた。

このドッグタグは双子の弟とペアでもらったもの。

だからボクと弟しか持っていない。

でも、その弟は死んでしまった。


「な、んで…あなたが持ってるの…?」

「燐…おれ、悠里(ユウリ)だよ…。」

「そんなの嘘ッ!! だって悠里はッ……悠里はパパとママと一緒に…ッ」

そう、パパとママそして悠里が乗っていた車にトラックが突っ込んでみんな死んでしまった。