蒼先生が車を走らせる。


ふと、ミラーを見ると、自分の姿が映っていた。


耳の上で束ねたツインテールという、いつもの髪型でデートに来たけど、子供っぽさを強調しているような気がする。



解こうと思い、髪に手をやる。


「髪の毛、そのままが良いな。」


赤信号で車を停めた蒼先生が、私を見て言った。



「いつも可愛いけど、今日は一段と可愛いよ。」


左手でツインテールの1束を手に取ると、その髪を指で梳いてくれた。



蒼先生の言葉で、落ち込んでいたのがウソみたいに気分が晴れた。





ドライブインに車を停め、降りる。


降りる時、足を滑らせて転んでしまった。


蒼先生が、私を起こしてくれた。



「次、転んだら厚底禁止だからな。」


そんなぁ…厚底履いても身長差あるのに、履かなきゃさらに釣り合わなくなるじゃない。


車のガラスに映った自分たちの姿を見て、ため息をつく。



「梨香、無理しなくていいよ。周りがどう思おうが、関係ない。」




蒼先生が、手を差し出す。


「ここなら知ってる奴いないし、手繋いで歩こうか。」


私はドキドキしながら、差し出された手をとった。