GW明けの土曜日は、蒼先生の誕生日。


部活の後、一旦帰ってケーキを作る。



ケーキと夕飯の材料を持って、家を出た。


今日はアンジェの部屋に泊まることにしてあるので、ばあやは快く見送ってくれた。


ウソついていることに、罪悪感はあるけど…。




夕焼け空の下、いつもの待ち合わせ場所の公園にいると、10分もしないうちに見慣れた車が到着した。


人に見咎められないよう助手席に乗り込むと、車はすぐに発車した。



いつもたくさんお喋りするけど、今日は静か。


私は、今日泊まることをどうやって切り出そうかと考えていたので、蒼先生が黙って運転していることを不思議には思わなかった。


そんな中、いきなりクラクションを鳴らされた。



「あ…悪い。」


信号待ちで車を停めていたのだけど、青に変わっても動き出さないこの車に対し、後続からクラクションを鳴らされたようだ。


蒼先生が運転中にぼーっとしてるなんて…なんか、変。






部屋に着いてすぐ、冷蔵庫にケーキを入れる。


ご飯は、前もって炊いてもらうように蒼先生にお願いしてる。


んー、ちゃんとできてるみたい。


エプロンを着けると、食事の準備に取り掛かる。



殆ど準備できたところで、あとはお肉を焼くだけ…。


「先生、焼き加減どうなさいますか?」


「おぉーっ、ステーキだぁ!

焼き加減は、ミディアムが良いな。」


ティータイムの飲み物の好みは違うけど、ステーキの焼き加減の好みは一緒。


共通点を見つけると何か嬉しいね…なんて思いながら、焼く。




ローテーブルに夕食を並べて、一緒に食べる。


「美味しいね、料理の天才だ。」


そんなに誉められたら、照れちゃうな。