思わずギュッと目をつむったけど、
自転車は昨日とは違って
ゆっくりゆっくりと走り出した。
「ね?大丈夫って言ったでしょ!!」
「うん。
昨日とは大違い!!」
「だから、昨日は急いでたんだってば~」
そんな普通の話をしながら学校へ向かった。
学校に行くまでに、海沿いを通る。
太陽に照らされた水面がキラキラと
反射している。
―――ここを見るといつも……
「ほんまここはいい町やな…。」
海を見つめながらまどかが言う。
きっと辺りにあたしたちしかいなくなったから、大阪弁になったのだろう。
「うん…。」
「まぁ、大阪も最高やけどな?
海はなかったから…、
初めて見たときは感動したわ。」
あたしも…あたしたちも…、
初めてあの場所で夕日を見たときは
感動したな…。