ふたりきりの病室は異様なほどに静かで、自分の心臓の音が蒼空に聞こえてしまいそう。
い、今ふたりきりとか…ムリッッ!!
まどか、何考えてんのっ!?
「そ、蒼空ッッ!!」
それを誤魔化すように、あたしは普段より大きな声を出す。
「もうすぐ、おじさんと菜緒さんも
来るだろうしっ…、
あたし…帰るねっ!!」
あたしは、カバンを持って病室から出ようとする。
だけど…
「ひゃ…っ!?」
蒼空に手首を掴まれた。
掴まれたところが熱い。
心臓なんて、破裂寸前じゃないだろうか。
「あ、あの…蒼空?」
「オヤジも菜緒も…今日は来ねぇよ」
「え!? どうして!?」
「オヤジは、
明日休むために今日は仕事だって」
「じゃあ、菜緒さんは!?」
「菜緒とふたりだったら、
また美紗が妬くかなと思って」
「な…っ!?」
口角をあげ、ニヤリと笑みを浮かべる蒼空に対して
あたしは、顔を真っ赤にして口をパクパクさせることしか出来ない。