「き……れい…。」 「…うん。」 あたしたちはそう言うのが、やっとだった。 車の音もしない、人の気配もない、 ただ波の音だけが聞こえる――。 そして、真っ赤に燃える夕日――…。 いつの間に、夕方になっていたのだろう。 あたしたちは魔法にでもかかった気分だった。