「…早く起きて、春斗…」

あたしの声が、静かな病室内に響く。


そんなことを言っても目を覚まさないと分かってるのに。口に出さずにはいられなかった。


"大切なものを守るため"

あたしのことを大切だと思ってくれてるの?

守ってくれようとしたの?


聞きたいことはたくさんある。話したいことだって。くだらないことを話したり、春斗にしかできない相談だって。


あたしだって、春斗が大切だよって。

無邪気な笑顔が早く見たい。

春斗が起きるまで、毎日ここに来るから。

毎日話しかけるから。

だから、早く起きて?

いつもみたいに優しく笑ってください。