「私ね、歌手になりたいの」 「ルナ…ッ」 「私が歌い始めた頃は歌手になりたいなんて思っていなかった。だけど、悠一さんに出会って、夢を追いかける姿を見て、いいなって思えた。したいことを考えてみたの。そしたら…私にはこれしか思い浮かばなかった」 「本気なんだな…?」 私は涙をぬぐい、目を開けて 「うん、本気だよ」 決心したように力強く言った。 「だから、私は海外に行けない。ここで1から頑張る」 すると、ふわっと優しく頭を撫でられる。