極悪兎甘い牙を向く

逃げ出す??
私にはその意味がわからなかった。


「明日はみんなお前に会いたがってるから、顔見せてやれよ!」

にぃが優しく笑って私の頭を撫でて
立ち上がると出掛けていった。

ラビはどこに進学するんだろう?
ずっと会ってないから
私のことなんて忘れてるだろうなぁ。

膝をかかえて顔を伏せる。
どんどん大きくなるのは
ラビに会いたいという気持ちだけ。
けど、素直になれないもどかしさが喉の奥でつっかえている。

「葵、明日俺も行くから
一緒に行こう?」


心配そうな顔で私を除きこむ蒼斗。


「蒼斗…うん、一緒に行こう」


私が笑うと蒼斗もほっとしたように笑顔を見せた。