「あれ…公園にイチルちゃんいないね…」
お空には煌々とした満月。
ワンワンが居たら、ウオオオンって吼えそう。
「今日だったよね、イチルちゃんが"魔法"見せてくれるのは…」
「ねえ…芹霞ちゃん。地面についてるの、何かな?」
それは黒く点々と道を作っていた。
「黒…じゃなく、赤い絵の具? 何だろうね」
芹霞ちゃんはそれを指につけて目の前に持ってきて眺めると、首を傾げた。
そんな時だったんだ。
ぴぎゃあああああああ!!!
「芹霞ちゃああん!!!?」
耳を壊しそうな、凄い音が聞こえてきたのは。
僕はガタガタしながら、芹霞ちゃんに抱きついた。
「…櫂、近いよ。こっそり行ってみよう!!!」
腰を抜かした僕をおんぶして、芹霞ちゃんは音がした方角に歩いていく。
「この絵の具と…同じ方向みたい」
ぴぎゃあああああああ!!!
「ひいいいいい!!!」
僕はまた芹霞ちゃんに抱きついた。
「芹霞ちゃん、何だろう。ねえ、何だろう!!!?」
僕はガタガタが止まらない。
芹霞ちゃんの足の動きも、迷っているみたいにゆっくりになった。
ぴぎゃあああああああ!!!
1歩進んでは2歩下がり、そして3歩進んで立ち止まり。
「あ、櫂!!! お墓に出た!!!」
お墓!!!
それだけで僕は、益々震え上がる。
幽霊、お化け嫌だ。
怖い、怖い、怖い!!!
「何か居る!!!
櫂、何か居るよね!!!?」
芹霞ちゃんの声に、恐る恐る目を開けた僕。
そこにあったのは…
「ワンワン…?」
地面で寝そべっている、沢山のワンワンだった。

