何度も何度も…しても足りないというように、上から降り注がれる玲くんの唇。
触れてはすぐに離れ、離れてもまた…磁力のように吸い寄せられる。
体に燻る火を灯したまま、煽りもせず消しもせず…ただひたすら、触れ合うだけのもどかしさだけを植え付ける唇は、捕えようとしては逃げられて。
……じれったい。
逃げないで欲しい。
あたしの前から消えようとしないで欲しい。
玲くんの熱を、いつまでも消えないようにあたしに刻み込んで欲しい。
――芹霞。
もう…いやなの。
あたしの中から、温もりが消えてしまうのは。
――俺の……。
玲くんの匂いにくらくらする頭の中、ただ求めるのは玲くんの唇で。
無意識に玲くんの背に回したあたしの手。
せがむように唇を突き出せば、玲くんの眉根に皺が寄った。
少し苦しげにも思えるその表情は、やがて確信犯的な微笑にすり替る。
「……どうしたの?」
判ってて聞いてくる。
あたしの唇から遠ざかりながら。
そして唇が触れるか触れないかのぎりぎりのところで動く唇。
「何が欲しいの?」
突き出すあたしの唇はかわされて。
ただただ妖艶に微笑む玲くん。
「欲しいのは…唇? それとも…」
「……玲くんがいい」
するりと出た言葉に、玲くんは一瞬だけ目を見開くと、びくりと体を震わせて。
「玲くんを頂戴?」
自分で…もう何を言っているのか判らない。
だけど玲くんが、凄く欲しかった。
もっと互いの熱に溶け合いたかった。
揺れる…鳶色の瞳。
玲くんの唇から、かすかに乱れた息遣いを感じた。
興奮のような…動揺のような…。
そして――
「…僕を…乱れさせてみる?」
上擦ったかのような声が聞こえた途端、
「僕がどこまで乱れるか…試してみる?
僕も知らない"僕"を…見てみる?」
甘やかな光を宿した鳶色の瞳は、熱く潤んでゆらゆらと揺れる。

