シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



何度も何度も…しても足りないというように、上から降り注がれる玲くんの唇。


触れてはすぐに離れ、離れてもまた…磁力のように吸い寄せられる。

体に燻る火を灯したまま、煽りもせず消しもせず…ただひたすら、触れ合うだけのもどかしさだけを植え付ける唇は、捕えようとしては逃げられて。

……じれったい。


逃げないで欲しい。

あたしの前から消えようとしないで欲しい。

玲くんの熱を、いつまでも消えないようにあたしに刻み込んで欲しい。


――芹霞。


もう…いやなの。

あたしの中から、温もりが消えてしまうのは。


――俺の……。


玲くんの匂いにくらくらする頭の中、ただ求めるのは玲くんの唇で。

無意識に玲くんの背に回したあたしの手。

せがむように唇を突き出せば、玲くんの眉根に皺が寄った。

少し苦しげにも思えるその表情は、やがて確信犯的な微笑にすり替る。


「……どうしたの?」


判ってて聞いてくる。

あたしの唇から遠ざかりながら。

そして唇が触れるか触れないかのぎりぎりのところで動く唇。


「何が欲しいの?」


突き出すあたしの唇はかわされて。

ただただ妖艶に微笑む玲くん。


「欲しいのは…唇? それとも…」

「……玲くんがいい」


するりと出た言葉に、玲くんは一瞬だけ目を見開くと、びくりと体を震わせて。

「玲くんを頂戴?」


自分で…もう何を言っているのか判らない。

だけど玲くんが、凄く欲しかった。

もっと互いの熱に溶け合いたかった。


揺れる…鳶色の瞳。

玲くんの唇から、かすかに乱れた息遣いを感じた。

興奮のような…動揺のような…。


そして――


「…僕を…乱れさせてみる?」


上擦ったかのような声が聞こえた途端、


「僕がどこまで乱れるか…試してみる?

僕も知らない"僕"を…見てみる?」


甘やかな光を宿した鳶色の瞳は、熱く潤んでゆらゆらと揺れる。